教員採用試験まであと数ヶ月!合格のために1日も早くやっておくべきこと


教員の世界でも団塊の世代が退職を迎え、大量採用時代となっている昨今ですが、それでも倍率2倍、3倍は当たり前。教科や自治体によっては10倍以上となっています。決して誰でも合格できるものではありません。しかし、教師になるにはこの教員採用試験を必ず突破しなければなりません。今回は、教員採用試験を突破するために1日も早くやっておくべきことについて、お伝えします。

私が実際にやらかした失敗

私自身のお話をさせていただきますが、私は、大学卒業後は一旦サービス業の一般企業に就職しました。いつかは教員を目指すかもと思ってはいたのですが、2年目に大病をしてしまい、そのタイミングで会社をやめ、教員を目指すこととなりました。
 一度目の教員採用試験を受けたのは、24歳の時です。たまたま地元に同じく教員採用試験を受けるという友達がいたので、一緒に勉強し始めました。まずは本屋に行って、専門教養と教職教養の参考書と過去問を買いました。当たり前ですが、まだ全然勉強をし始めていなかったので、過去問は開いてもさっぱり訳がわからず。「ふーん。」とだけ思ってすぐに本を閉じました(笑)。しかも、当時の私は「専門教養(私の場合中学社会科)は、受験の時に勉強したから多少わかる。教職教養は勉強したことがなくて知識ゼロだから、こっちを中心にやろう!」と思っていました。今から思うと、試験のことを全くわかっていなかったなぁ、と思います…。

勉強しているのに点数が取れない??

そう、試験を受けるには相手のこと、つまり試験の内容を良く知っておかなければなりません。そうでないと、内容に対してかけるべき配分を間違ってしまうとか、的外れな勉強をし続けてしまう、といったことになってしまいます。
 私の失敗に話を戻しますが、私が受けた東京都の採用試験・社会科では、専門教養に一部選択問題があり、「地理・歴史・公民」のうち一つ、自分で選んでよい、という形式でした。私は、「大学受験で勉強して一番知識があるのは歴史だから、歴史で受けよう!」と思い、一般教養の勉強も続けながら歴史の勉強をしていました。
 半年ほど経ち、採用試験も直前に迫った頃、「そろそろ過去問でも少し解いてみるかぁ」と、封印していた過去問の本を開きました。選択問題の歴史を解き始めて、愕然…。「全然わからない!!!」勉強してきたはずなのに、解けない。はじめはどうしてわからないのかがわかりませんでした。しかし、次第に理由がなんとなくわかってきました。当時はもろもろの学力調査で児童生徒の読解力の低下が叫ばれており、現場で読解力や資料を読み取る力を高める指導が求められていました。教員採用試験にも、まさしくその傾向が反映されており(指導するには、その力をもってないといけない。)、社会科の試験も資料問題や歴史文書資料の一部を扱った問題が多数でした。私が苦手だったのは、歴史文書資料の問題。昔の文書資料の原文がそのまま掲載され、一部に下線が引かれ問題になっています。しかし「何コレ意味不明…」私には歴史文書資料の原文が「古文」のようで(例えば「○○候」、みたいな文章です。)、掲載されている文章も、問題文も、理解することが出来ませんでした。当然得点にも結びつかず、過去問の結果は散々。しかし、初めてだったので、ポジティブ&呑気な私は「じゃあこれからは資料問題をたくさん解こう!」と、可能性を信じていました。
 しかし、歴史文書資料の意味がわかるようにはならず、初見の資料には太刀打ちできませんでした。文書を読めるようになるには、もしかしたらそれこそ古文の勉強をし直したら良かった?のかもしれませんが、専門教養に加え、教職教養の勉強、論作文の練習、学習指導要領の読み込み、など多くのことをやらなければならなかった当時の私には、一歩戻って古文の勉強をし直す、なんていう余裕はありませんでした。はじめから歴史文書資料にあたって勉強していたら、多少は違ったかもしれませんが、もう試験は直前。時すでに遅し。
 そしてそのまま試験当日を迎え、専門教養の得点は半分程度。一次試験突破は夢に終わりました。

まずは相手を良く知ろう!!

当時の私に今声をかけるとしたら、「勉強する前に、過去問に目を通して、いくつか実際に解いてごらん」と言います。知識がないから正解できなくて当然。しかし、実際に解くことでどのような出題形式でどのような内容が問われているかを、身をもって感じ、頭の片隅にその経験をインプットしておくことができます。この経験があるとないとでは、その後の学習に大きな差が出てきます。試験の対策を考えながら学習できるからです。私も、敵(試験の内容や出題形式)を知らぬままひたすらに勉強を続けた結果、随分的外れな勉強をしていました。
 私は実際にその後どうしたかと言うと、二年目は歴史での受験はあきらめ、地理に切り替えることにしました。地理の過去問を解いたところ、資料問題は地図が多く、私には題意がとらえやすかったからです。もちろん歴史のように古い文書資料は出てきません。しかも、出題内容も、私が偶然買った世界の統計や時事問題を扱った本に関わる問題が多数出ていました。「こっちだ!!!」。そう思い、二年目はひたすら地理の勉強を進めました。そして採用試験、専門教養も8~9割取ることができ、無事に一次試験を突破。二次試験も合格し、晴れて教員になることができました。補足ですが、結果的にこの採用試験の勉強を通して、それまであまり本気で取り組んだことのなかった地理の知識を深めることが出来、現場でとても活かされたので、地理にして良かったなぁと思っています。
 教員採用試験で高得点を得るために、なるべく早いうちに過去問にあたりましょう。そして自分なりの「傾向と対策」を考察し実践しましょう。今年受験を予定している方で、もしまだ過去問を解いていないという方は、至急解いてみてください。きっと、得点に結びつくヒントが得られます。時間配分の感覚も実感できるので、ぜひ時間を確保して1問目から最後まで通してやってみましょう。
 何事にも準備が肝心。私のように的外れな学習をすることなく、試験を良く知り、しっかりと傾向と対策を練って自信をもって本番に臨みましょう。